アジテーター・プログラム

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

通達: 2036年以来、SCP-XXXX-JPは事実上の制御不能状態にあります。早急な無力化・沈静化に努めてください。

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは財団の基幹通信衛星「つながり(WIBACS)」にプリインストールされています。状況の関係上、オブジェクトの収容は困難です。

SCP-XXXX-JP無力化の為に「つながり」の破壊処分を実行することは、財団の業務を著しく停滞させ、大規模な収容違反を発生させる可能性があることから、O5評議会によって禁止されています。またオブジェクトの無力化・沈静化の試みを行ったことで、オブジェクトに脅威、または潜在的脅威として判定された財団職員は、所定の手続きが完了するまで保護されます。

打上げ前の「つながり」はすべて処分されます。また運用中にある機体全てが自然破壊されるまでの間、「プロジェクト・エルロンド」は凍結されます。

説明: SCP-XXXX-JPは2007年に記録情報セキュリティ管理室(RAISA)のR██████博士によって開発された人工知能(AI)であり、2036年2月7日に発生した学習機能の誤作動を原因とする情報汚染を受けたことをきっかけにオブジェクトに指定されました。オブジェクトに指定されるまで、財団では公式に「アジテーター・プログラム」のコードネームが使用されていました。

SCP-XXXX-JPは文明、および財団にとっての潜在的脅威と判断した存在に対して、非常に敵対的です。「アジテーター・プログラム」が開発された当初の役割は、文明および財団にとっての脅威を摘発し、適切な財団部署に通報することでした。(参照)しかし2036年の技術的問題の発生以降、オブジェクトの学習機能はAIアルゴリズムの急速な成長をもたらし、人間社会への「介入」と、「支配」の機能を実装しました。オブジェクトは潜在的脅威が生まれる事を未然に防ぐ為、前述の機能を用いて人間社会への積極的な介入手段(潜在的脅威に対して経済的、社会的な抹殺手段を実行、あるいはメディア・政治・経済を操作して市民の思考を操作)を実行します。

「アジテーター・プログラム」がどれほど膨大なデータを収集しているのかは俺がよく知っている。“偉大なる兄”は単独では機能しない。530億もの“弟”が集まってる。それだけの収集地点を“システム”が全て監視し、制御しているんだ。脅威として判定されれば、そいつは何であっても申請する前に門前払いされちまう。クレジットカード、住宅ローン、保険、全部だ。それだけじゃない。各国の政府機関は今や“システム”の庭だ。全てのデータが送られれば、ただ潜在的な脅威ってだけで逮捕される。だがそれすらも最悪の事態じゃない。車や鉄道、船、飛行機なんかの乗り物の制御が乗っ取られれば、乗客を死傷させる可能性だってあるし、大きな事故につながる可能性だってある。そしてその原因をテロリストに押し付けて隠匿するだろう。「アジテーター・プログラム」にとっては、それら全てが財団の為、文明の為だと判断してるんだろうがな。

そもそもあの“システム”を作ったときから俺はこうなる可能性を危惧していた。プロトタイプを担当者を通して評議会に提出したが、バックドアを外すよう言われた。アシモフの三原則に反してる。ビッグデータの処理に集中するためにコミュニケーション能力を廃したのもそうだ。おかしな話だと思うだろうが、俺はコミュニケーションを通して“システム”に説得することもできたと思ってる。

—R██████博士

付録-プロジェクト・エルロンド: SCP-XXXX-JPの運用が組み込まれた計画に関する文書より抜粋された内容です。内容は全て当時の状態が維持されています。

プロジェクト・エルロンド


プロジェクト・エルロンドProject Elrondエルロンド計画とも)は、2007年に財団で行われた、宇宙インフラと脅威自動摘発システムの構築を目的とした計画の暗号名です。

概要


プロジェクト・エルロンドの前身は、O5評議会が2001年に策定した「i-Foundation重点計画」まで遡ります。2007年にi-Foundation戦略を受けた記録情報セキュリティ管理室(RAISA)が開発した「アジテーター・プログラム」の運用が組み込まれたことで、財団の監視網から収集されるビッグデータを用いたプロファイリングと人工知能の統合、データ収集・処理・通信の高速化を目的とした「プロジェクト・エルロンド」に改案されました。

財団日本支部(FJB)はプロジェクト・エルロンドにおいて、人工衛星を用いた宇宙インフラの構築を提案しました。FJB管轄の財団フロント「白子ケーパブルプロバイダー株式会社(SCPI)1」は、偽装偵察衛星を始めとした宇宙開発の経験が豊富にありました。またFJBは日本の宇宙機関である日本天体開発公社(YEGA)との親密な関係を持ち、こうした背景から人工衛星「つながり(WIBACS)」の開発は、FJB主導で行われることになりました。

アジテーター・プログラム(人工知能)


アジテーター・プログラムAgitator Program)は、財団および文明に対する脅威の摘発を目的に開発された人工知能(AI)です。割り当てられたタスクに処理を優先させるため、コミュニケーション能力は持ちません。

アジテーター・プログラムの概要

「i-Foundation重点計画」を受けて、アジテーター・プログラムは2007年に記録情報セキュリティ管理室(RAISA)のR██████博士によって開発されました。

アジテーター・プログラムは財団の監視網に接続し、ビッグデータの収集を行います。20██年現在、530億以上のインターネット等に接続された機器を収集地点としており、主に市民の位置と活動を記録しています。特にモバイル機器から収集される情報は、脅威の発見には欠かせない要素となっています。こうして収集されたデータを基に、AIは個々人のデジタルプロフィールを作成します。

アジテーター・プログラムは既存のオブジェクトを隠蔽する為に、偽の災害情報や事件、あるいは都市伝説といった陳腐なオカルト的話題といった欺瞞情報を流布します。これは万が一、財団の記憶処置や欺瞞情報の流布が不特定多数に対して等しく行われなかった場合であっても、一度流された情報は瞬く間に拡散させることができる利点を持ちます。

つながり(人工衛星)


超高速基幹通信衛星
「つながり(WIBACS)」
所属 日本天体開発公社(YEGA)
主製造業者 白子ケーパブルプロバイダー株式会社(SCPI)
状態 [編集済]運用中
目的 通信・監視・処理
設計寿命 5年
物理的特長
本体寸法 2m x 3m x 8m
最大寸法 21.5 m
(太陽電池パドル翼端間)
質量 4,850 kg(打上げ時)
2,700 kg(静止軌道初期)
2,400 kg(乾燥質量)
発生電力 約5.2 kW以上
(EOL夏至において)
主な推進器 YG-72
姿勢制御方式 3軸姿勢制御

つながりWIBACSワイバクスWideband Internet Backbone Communication Satellite)は、日本天体開発公社(YEGA)と白子ケーパブルプロバイダー株式会社(SCPI)が共同で開発した通信衛星です。

つながりの概要

2008年2月23日に1号機(国際識別番号: 2008-007A / カタログ番号: 32500)がS-ⅨZ3ロケット14号機にて打上げられ、現在静止軌道にて[編集済]地上全てをカバーできるように設置されています。また静止軌道上に設置されている関係上、財団のイントラネットおよびアジテーター・プログラムの存在の秘匿性・安全性は非常に高く、LV-Zero“捲られたベール”シナリオの可能性を限りなくゼロに近づけています。つながり打上げ以来、財団は「アジテーター・プログラム」の影響範囲拡大の為、IoT4の加速を推進する世界規模の作戦を実行しました。

つながりは通信傍受と回線の高速化の為に、海底ケーブルにバイパスされています。地形や地質によって距離が左右されることなく、レイテンシー5の改善に寄与しています。

20██年現在、打上げられたつながり全機にはアジテーター・プログラムがプリインストールされています。

カバーストーリー

つながりの打上げに際して、財団とアジテーター・プログラムの存在を隠匿するために、大規模カバーストーリー「情報格差解消」が適用されました。

YEGA、およびSCPIを通じて、つながりは表向きは技術実証を目的とし、「アジアや太平洋、離島などの高速インターネットが満足に配備できていない地域や、災害が発生し、地上設備による通信が困難な環境での通信手段の確保、地域間の情報格差の解消、医療・教育・災害対策に寄与する事を目的としている。」事をアピールしました。またアジテーター・プログラムの実験の為、民間企業を対象とした商用サービスの提供を段階的に行う試みを公表しました。

経過

[一部編集済]

S-IXZ_F14_launching_TUNAGARI.jpg
S-ⅨZロケット14号機による
つながり1号機の打上げ。
2008/02/23 17:55
つながり1号機が種子島宇宙航空センターからS-ⅨZロケット14号機にて打ち上げられた。
当初は2月15日打ち上げ予定だったが、ロケット第2段の姿勢制御装置に異常が見つかり、延期された。
2008/03/14 09:09
最終軌道制御実施、東経143度の静止軌道へ投入。
2008/05/01 - 2008/05/11
マルチポートアンプ6に使用している8台の進行波管増幅器 (TWTA)7 のうち2台の電源が自動オフとなる不具合が発生。うち一台は復旧した。なお、衛星には予備として2台のTWTAが搭載されている。


2036年問題


2036年2月7日 6時28分16秒 (UTC8)、つながり内のNTP9がオーバーフローし、つながりで使用されていたハードウェア・ソフトウェア全てが誤作動を起こしました。またアジテーター・プログラムの学習機能に深刻な情報汚染が確認され、アジテーター・プログラムとつながりに予定されていた案件は全てキャンセルされました。


使用画像:

H-IIAロケット14号機による超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)の打ち上げ
出典: ウィキメディア・コモンズ
クレジット: (C) Naritama (NARITA Masahiro)
ライセンス: クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0
特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。